須海日記

すかいねん・すうみ

中学の卒業式の話

 もう、2年も経つらしい。

 

 一斉休校の中で県立入試を迎え、級友とは久しぶりに顔を合わせた。どんな話をしたかとかは覚えていないが、きっと入試の話でもしたんだろうな。

 体育館に並べられた椅子に腰掛け、一人ひとり、名前が読み上げられていく。「はいっ」と言う返事と共に立ち上がる。みんな立ったら振り返って礼をする。

 そんな卒業式を想像していた。

 実際、その前の年に目の前で見ていたのだから考えるのは当然である。ステージに掲げられた『第〇〇回卒業証書授与式』の文字。『卒』の文字が美しかったのを覚えている。二度と同じ形が描けないのが習字だから、自分の時にはどんな形をしているだろうと楽しみを膨らませた。

 それなのに……。

 面接練習の時間を割いて練習を作った仰げば尊しの合唱も、こんな奴がいたなとか、みんなで笑い合えるはずの呼名も、楽しみにしていた習字すらも拝むことはできなかった。

 普通の日常が、どれほどかけがえのないものなのか、僕の笑窪が現れることはなかった。

 

 

 ちなみに手書きじゃなかったのは今でも意味がわからないしめっちゃ恨んでる。節目の年だったのに、、、許せねえよ。